勇者敬三の冒険の書

【事業再生の現場から】事業再生計画を策定するときに気をつけること

2016/05/02

「事業再生の現場から」の雰囲気が伝わるようにしていますが

守秘義務をしっかり守るために特定の会社、特定の人物が推定できない表現としています!

 

「聞きたいことがある!」

「この場合はどうするの?!」

などご質問などがありましたら

気軽にこちらからご連絡ください(^-^)/

 


「事業再生計画を策定するときに気をつけること」について

統括プロジェクトマネージャーの藤原氏が著者である

実践的中小企業再生論〔改訂版〕~「再生計画」策定の理論と実務~ 」からの引用と

私自身の経験を踏まえた解説です

 


 

書籍の引用の場合の書籍名は、以下のとおり

「改訂版」:実践的中小企業再生論〔改訂版〕 「再生計画」策定の理論と実務

「別冊版」:実践的中小企業再生論〔別冊版〕 「経営改善計画」策定の理論と実務


 

 

「改訂版」P.86

まずは、「事業そのもの」の理解と「窮境原因の特定」が重要である。

「事業」の理解と「窮境原因の特定」なくして「再生」なしである。

 

そもそも「事業そのもの」を理解していないのであれば

その会社が営んでいる事業が儲かる仕組み(ビジネスモデル)が分かりません

 

さらに「窮境原因の特定」ができていなければ

「どこ」を「どのように」改善すれば良いのかも分かりません

 

そのような計画は 再生できるような数値が並んでいても

何の根拠もなく 誰も行動もしなくなり 実現できる可能性は限りなく低くなります

 

まさしく 『「事業」の理解と「窮境原因の特定」なくして「再生」なし』です

 

これも最低限必要な条件ではありますが

私自身が 事業再生の現場で感じているのが

根本的に必要な条件は 「意識の再生」なくして「事業の再生」なし』です

(こちらについての続きはまた後で)

 


 

「改訂版」P.89

再生支援協議会の例でも、たとえば「営業力の強化」とか「原価管理の徹底」という一言で数値計画の説明がなされた例があるが、「強化・徹底」では説明にならない。

 

再生支援協議会が策定支援した計画でも

事業再生のために改善する行動が漠然としたものがあります

(私自身が再生支援協議会に在籍した時にもあります)

 

「営業力の強化」と掲げられて

その会社の営業を担当している人は

いつまでに 誰に 何を 具体的にすればいいのか?

分かりますか? 動けますか? 改善できますか?

 

「原価管理の徹底」と掲げられて

その会社の製造を担当している人だけではなく 原価を構成しているすべての人は

いつまでに 誰に 何を 具体的にすればいいのか?

分かりますか? 動けますか? 改善できますか?

 

(具体的な行動をとるためのコツについては また後で)

 

「説明」も大事ですが

これは金融支援を検討してもらう金融機関への説明ではなく

そもそも 事業再生を実行する会社の役職員自身が理解できていること

すなわち 自分自身に「説明」できることが大事です

 

自分自身に「説明」できるのであれば

そのほかの人に「説明」することは簡単であるはずです

 


 

「別冊版」P.32

製造業(中略)この業種では(中略)収益改善の余地が原価の部分に多く含まれているのが特徴となっています。

 

当然のことです

 

なぜならば 製造業が儲かる仕組みの大前提は

会社が持っている資源(リソース)である

人、機械設備、製造ノウハウなどを活用して

原材料を加工して「製品」を製造できることにあるからです

 

おそらく勉強ごとでは ほとんどの人が知っているし

知っていなくても 経験で感じているはずです

 

 


 

「改訂版」P.88

中小製造業では多くの場合、製造原価部分に改善の余地があるが、肝心の損益判断に必要な原価計算を行っている企業は少ない

 

常識のはずなのに 事業再生の現場では常識となっていません

なぜでしょうか?

 

ちなみにとある会社から計画策定支援依頼を受けた時に

計画策定のスケジュールに「原価改善のための調査」を含めていたところ

補助金を支援するセンターから否定的な意見を述べられました

 

中小企業再生支援全国本部の書籍の説明もしているにもかかわらず

理解を示そうとしてくれませんでした

 

なぜでしょうか?

 


 

「別冊版」P.45

製造業で最も効果が上がる「原価」部分の改善がなければいずれ元の木阿弥になります。

 

事業再生局面において 限られている資源は "カネ"だけでしょうか?

"ヒト"も"モノ"も限られていますね

それだけでしょうか?

 

答えは

"時間""ヒトのやる気"です

 

その限られた"時間""ヒトのやる気"を大事に活用して

最も効果が上がる「原価」部分の改善をした方が良いのですが

それをしない場合には 元の木阿弥になってしまいます

 

「原価」の実態を無視して 「原価」の改善を無視した計画は

再生の「実現」可能性を低くしてしまう一つの大きな「原因」です

 


 

「別冊版」P.56

何より経営者の腹に落ちた計画を作ることが重要です。また、窮境原因、自助努力の内容を経営者、社員との間で共有し、経営者と社員とが協働で計画作成にあたることができれば、より良い計画ができることでしょう。

 

再生支援協議会に在籍し始めて

前任の方が担当していた会社の社長に

進捗状況を確認するために挨拶しに行ったところ

「この計画は協議会が作ったもんだから よく分かっていないんだけどな」と

言われたことがありました

 

全国都道府県の協議会の案件を確認している全国本部の書籍に

「何より経営者の腹に落ちた計画を作ることが重要です。」

と 説明されているということは

他の都道府県の協議会の案件でも

協議会と 専門家と 金融機関が 納得しているだけで

当事者である会社自身が納得・理解していない計画があるということでしょう

 

なぜ このようなことが起きてしまうんでしょうか?

(「経営者の腹に落ちた計画とならない原因」については また後で)

 

 


 

「別冊版」P.56

計画には「具体性と積上げ」、すなわち「誰がいつまでに、何をどうするのか。その結果、企業の収益はどのように変わるのか」を記載し、かつ、期間、責任者、数値目標を具体的に記載しなければなりません。

はじめから完璧なものでなくとも構いません。経営者自身に気づきの機会を与え、考えてもらうことが重要なのです。

 

「具体性と積み上げ」「誰がいつまでに 何をするのか」を

十分に議論して 納得して 実行することが 計画の実現可能性を高めます

 

それは 最初から完璧なものでなくても構わないのです

 

「今までと同じ意識で同じ行動をとる」のではなく

「意識を再生して 事業再生を実現するための行動をとる」ということを

経営者自身 主要な役職員が気づくことが大事です

 

それができなければ まさしく「数字遊びで作成した計画」になり

永遠に「実現」に向かうことができない計画となります

 


 

「別冊版」P.96

安易にコストカットしてしまうと事業そのものに大きくダメージを与え最悪の場合には会社が消滅してしまうこともあります。

 

金融機関からの借入金を返済するためには

もちろん利益を確保する必要があります

 

こういったテーマになると

「売上を上げるか コスト削減しかないんですよ!」という

助言だけをする方がいらっしゃいますが

その助言のみの場合 「数字遊びで作成した計画」になり

永遠に「実現」に向かうことができない計画となります

 

そして 儲けの仕組みであるビジネスモデルを理解せずに

「顧客が求める価値」を提供するために

「必要な元々の価値」である「原価」を見極めずに

安易に「コスト削減」 「コストカット」してしまうと

「顧客が求める価値」を提供することができなくなり

結果として売上は減少し 利益が確保できずに

最悪の場合は 事業再生することができずに 倒産することになります

だからこそ 「事業の理解」がなく 「原価の理解」がない計画は

「数字遊びの計画」なのです

 

「"原価"と"コスト"は違う」については また後で)

 


 

「別冊版」P.96

担当者が販管費、原価の分析において安易に同業他社との比較を行い、業界水準の数値を使って、原価3費のうち労務費を3割カット(従業員10名が退職)し、工場の生産ラインがストップしたケースがあります。

これは生産工程の仕事の見直しをしないままに拙速、一律に直接本業に関わる部分のコストをカットしたために陥った例です。

 

同業他社 業界水準

確かに今後の意思決定をする際に参考とする一つの情報ですが

あくまでも参考にしか過ぎません

 

なぜならば 同じ業種であっても

顧客が違う

製品・サービスが違う

チャネルが違う

顧客との関係が違う

リソースが違う

主要な活動が違う

パートナーが違う

 

つまり 同じ業種であったとしても

ビジネスモデルが違えば 同業他社 業界水準は

ただの 参考としての情報に過ぎないのです

 

数字は結果にしか過ぎません

結果である数字がどのような活動によって作られたものであるのか

「事業の理解」 「窮境原因の特定」がなければならないのです

 

「別冊版」P.97

売上の20%を占める主力製品について良く採算を調べないまま生産中止を提案してしまった例です。会社はアドバイスを受け入れその主力製品から撤退。固定費削減の部分が後手、後手に回り大赤字に転落してしまいました。

これは小売業専門のコンサルタントが損益分岐点の分析なしにアドバイスしてしまった事例でした。

 

とある再生支援協議会でもこのような事例があるということは

全国都道府県の協議会 それ以外の専門家が作成する計画で

採算を理解していない つまり「儲け」の実態を把握しない計画は

事業再生どころか ますます傷を広げ深め

その会社の大事なリソースの一つである"ヒト"のやる気を削ぐことになります

 

確かに利益を確保するためには売上を上げることが大事ですが

それは「質の良い売上」を上げないと 結果としての利益は確保できないどころか

減少 もしくは 赤字に転落します

 

「せっかく頑張ったのに 報われない」

立ち上がれなくなる傷を負ってしまうかもしれません

 


 

「別冊版」P.98

製造業では必須の原価分析を行わず販管費のみの分析を行い(中略)、会社は再生計画を描くことができませんでした。仕方なく、再度、別の専門家に事業DDを依頼しましたが、こちらも事業の本質を見極めないままDD、計画策定を行ってしまったため失敗に終わり、ムダな時間とコストを費やしてしまいました。

 

自分自身が目にしてきた計画で

原価計算を意識した原価分析を踏まえた計画は 皆無です

結果として 事業再生できずに 今もなお苦しんでいる会社から

原価の実態を把握した上での 計画策定を依頼されています

なぜ 私に依頼頂いたのかというと

中小企業再生支援協議会に在籍していた時に

この会社の原価についての助言をしたことがあったからです

 

「原価の実態を把握しない計画がダメな理由」については また後で)

 


 

「改訂版」P.85

「中小企業には管理データがない」という専門家の意見を耳にするが、ここは「なければ作ること」が専門家にとって必須の作業であることをご理解いただきたい。

 

こんな発言をする専門家は 専門家ではないと思います

そして 全国本部の意見の『「なければ作ること」が専門家にとって必須の作業である』は

当然のことです

 

会計ソフトで帳簿を作ってなくても

販売ソフトで販売状況を把握していなくても

なんらかしらの"情報"は絶対にあります

 

例えば 「請求書」や「納品書」

むしろ "原価"を理解するためには「請求書」や「納品書」の

"数量"の"情報"が必要

 

それらの"活動"の"情報"を活用することの大事さを理解していない

専門家は 事業再生の可能性を低くする恐れがあります

 

(「活動を理解するために把握した方が良い"情報"」については また後で)

 

 

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